私たちは印象をある程度、操作することができます。
それは使い方によっては怖いことで、良い方向にも
悪い方向にも使えるわけです。
悪い方向からお話ししていきます。
例えば、ある人が交通事故を起こした。
その結果
裁判をすることになった。
争点はその事故を起こした人が飲酒を
していたかどうかになった。
調査によって飲酒はしていないことが分かった。
裁判になった際に陪審員は 2 つの話を
聞かされたとします。
1・その事故を起こした人は、その前に
パーティーに行っていて、そのパーティーの時の
帰りに、ちょっとふらついちゃって、
テーブルにぶつかって
そこにあったコーラをこぼしてしまった。
もう 1 つの話。
2・テーブルにぶつかってコーラをこぼしてしまった。
ところまでは一緒なんですけど。
そのコーラがこぼれた時に、グラスがバリーンと
割れて。
白い綺麗なカーペットに黒いコーラが
ぶちまけられてしまった。
という話を聞いたとします。
そうするとこれって別に飲酒運転をしていたかどうか。
ということとは全然関係ない話なんですけど、
これを聞いた陪審員の人達って、後者の場合は
強くその話に影響を受けちゃうんです。
実際に交通事故を起こした時に
お酒は飲んでいない、ってことが証明されていたのに、
この人はお酒を飲んでいたんじゃないか。
結果的に後者の場合だと、
この人は有罪じゃないか。
という方向に陪審員が動きやすくなっちゃうんです。
では、なんで同じ話のほとんど変わらない内容なのに、
後者の方だと、人の判断っていうものが
大きく変わってしまったのかって言うと。
そこで起こった出来事の話っていうのを
詳細にすればするほど、人の記憶には
残りやすくなるんです。
特にコーラが入っていたクラスが落ちて、
バリーンと大きな音を立てて割れて。
真っ白なカーペットに黒のコーラがぶちまけられた。
イメージするだけでも、その絵が浮かぶような
聴覚に訴えかけるようなバーリンという音であったり、
白のカーペットに黒のコーラが・・・
みたいに視覚をイメージさせるような。
詳細な言葉を入れられると、どうやっても
印象に残りやすくなっちゃうんです。
そうするとこれって話としてはポジティブじゃなく、
ネガティブな方向です。
それが組み合わさっちゃうんです。
お酒を飲んでいなかったのに。
お酒を飲んでいると、足元はフラフラしやすい。
という想像と今聞いた話が、正しくないんですけど、
そこが組み合わさっちゃって。
この人はやっぱり酔った状態だったんじゃないか。
飲んでないとは言ってるけれども。
本当は飲んだんじゃないか。
みたいに勝手に判断の解釈は変わっちゃうんです。
事実はお酒は飲んでないと検査で出てるわけですから、
そこの話は本来は終わってるんです。
人はその判断を下す時に得た情報の形によって
考え方、イメージっていうものがすごく大きく
揺さぶられてしまうんです。
だから情報であったり、言葉の使い方っていうのは
良い方にも悪い方にも使われちゃうから怖いわけです。
では、今度はこれを良い方向に使うと
どういう方向に使えるのか。
というお話をしていきます。